登山家・田部井淳子さんの息子・進也さん(左)と、映画で田部井淳子さんを演じる女優の吉永小百合さん(撮影:佐藤早苗)
登山家・田部井淳子さんが、女性で世界初のエベレスト登頂を達成してから今年で50年。節目の年に映画化が決まった彼女の人生を、吉永小百合さんが演じました。淳子さんと生前に親交があった吉永さんが、息子の進也さんとともに思い出を語ります。(構成:篠藤ゆり 撮影:佐藤早苗)

前編よりつづく

被災地の高校生と日本一の山へ

田部井 母が東北の未来を担う子どもたちに、日本一の山の頂に立つことで自信をつけてほしいとの思いから、復興支援の一環として始めた「東北の高校生の富士登山」。おかげさまで今年の7月にも68名を連れていくことができました。16年の開催の際に、3010mまで登ったのが母の最後の登山でした。

吉永 お母さまの体調の心配をされながらプロジェクトを進められたとは、ご家族の皆さまも大変でしたね。

田部井 資金集めもそうですし、最初は肝心の高校生を集めるのにも苦労しました。一方、母は上まで登れなくても、無線機でガンガン指示を出してくるので、自分の親ながらタフだなと思ったり。(笑)

吉永 お母さまが亡くなられた後も、進也さんが継続しているのが素晴らしい。高校生たちにとって、いい経験ですね。