(写真提供:Photo AC)
お笑い芸人の山田ルイ53世さんは、これまでに引きこもりや低迷など数々の挫折を経験したことから、「『挫折や失敗は、必ず糧にせねばならぬ』との風潮は、気が滅入る」と語ります。そこで今回は、山田さんの著書『僕たちにはキラキラ生きる義務などない』から一部を抜粋し、ご紹介します。

夢や目標は、別になくてもいい

「ハッピーバースデイ、トゥーユー♪」

山梨でのレギュラー番組、生放送前のリハーサルが終わると、突如、台に載せられたケーキがガラガラと入場してくる。

その日は筆者の誕生日。

「お疲れ様でーす!」といの一番にスタジオから飛び出そうとしていたら、自分の誕生日とぶつかりそうになったのだ。

折角準備していただいて申し訳ないが、筆者はこの手のノリがすこぶる苦手、というか嫌いである。

自分の誕生日など、他の人間にとってはただの平日。

何もめでたくなどない。

逆もしかりで、他の人の誕生日を心から「おめでとう」などと思ったことはない。とはいえ、異常な人だと思われるのも仕事上マズいので、

「えー! ありがとうございます!」

と一応リアクションは取っている。

周囲に促されるまま、ろうそくの炎を吹き消したところで、

「じゃあ、男爵さん一言! 50歳の抱負を!」

などと誰かが尋ねてくるが、これもまた鬱陶しい。

抱負などというモノはないからである。

明日に辿り着けばそれで良いと思って生きている人間だ。

大体、「負け」を「抱える」と書いて「抱負」なら、我が人生、もう十分に「負け」は「抱えて」いる。