(撮影:浅井佳代子)
現在発売中の『婦人公論』2026年6月号の表紙は、俳優の高畑淳子さん。カメラの前に立つのがとても苦手だという高畑さん。それでも、俳優を続けている理由は――。発売中の本誌から、特別に記事を先行公開いたします。(撮影:浅井佳代子 構成:篠藤ゆり)

弱音を吐いたら

私はカメラの前に立つのがとても苦手なんです。今日も逃げ出したくなりました。デビューして半世紀経ったのに、いまだに舞台に立つのも怖い。私は一体なぜこんな仕事をしているのだろう、と(笑)。

でも、5月に藤山直美さんと共演する舞台『おだまり、お辰!』があるので、怖がってもいられません。

最近、歳のせいかいろいろなことを忘れやすくて。ATMで下ろしたお金をその場に置いて帰って、紛失してしまったり……。短い稽古期間で台詞を覚えるのも、本当に一苦労なんです。

そんな自分が情けなくて、舞台の制作発表で「私、覚えられないと思います」と弱音を吐いたら、藤山さんが「この歳になったら、お互いの生存確認ができればいい。生きて終わりまひょ」と。ああ、この方は器が違うなと思いました。(笑)