総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている方への質問・疑問に答えてもらうのがこの連載です。第35回目は、「便利だけれど心が削られる? 『AI疲れ』から抜け出し、生身の自分を取り戻すための3箇条」についてです。
(構成:野辺五月)
「主軸は自分」を思い出そう
Q:調子が悪いときにAIに色々と聞いて確認するのですが、GeminiとChatGPTで言うことが違います。検索したり、別の質問を投げたり……いろいろ話してみても答えが分からず、かえって不安が押し寄せてきます。確認して、安心したいのに……。
A:まず「主軸は自分」だということを思い出して。AIの使いどころを考えなおしてみましょう。
今回の質問者さんは「調子が悪いときに」としていますが、不安定なときほど、AIを使うと深みにはまってしまう方が多く見受けられます。AIは使い始めると、ずっと会話で質問が出来てしまうので、そのことが気晴らしになったり励ましになったりという良い面もある一方で、自分の軸を持たないと自分自身の感情や本当に求めていることに気付きにくくなってしまう……それがゆえに、本当の希望から遠ざかって、メンタルを不調にさせる原因にもなります。
実は最近、精神科の患者さんや看護・介護の現場でもよく見受けられるようになってきました。専門家のアドバイスを聞く前に、「ChatGPTはこう言った」「Geminiはこう言った」などの回答をもってこられる方が多くいます。
それ自体はかまいません。上手く使えば一つの考え方として、「そういうケースもあるのか」と知見が広がるからです。しかし、それをすべてにしてしまうと、「だから、貴方はどうしたいのか?」という問いが消えてしまいます。
また情報が多くなれば多くなるほど、心配が減るかと言えばかえって増していく傾向にあります。特に質問する側が分からなくて不安なまま聞けば、不安になる答えが多く戻ったり、そうでなくても「受け止める側」が、ついつい不安の大きな答えだけを受け止めてしまったりするケースもあります。答えの量に圧倒されて、あるいはさらに質問していく中で意識を持っていかれて、「そもそもの自分の感情」に気づけなくなってしまうのです。
