「東京ビーフのバタ焼きマデラ醤油」2500円。東京ビーフは、青ヶ島で育てた仔牛を八王子などの牧場で飼育した黒毛和牛。部位はトモサンカク。シンタマと呼ばれる腿肉の一部でほどよくサシの入った希少部位だ。また「スコッチエッグ」には尾崎牛のウワミスジを使用。ランチでレアな牛肉をいただけるのも肉の巨匠の店なればこそ

肉の名店に満を持してランチが登場

白い皿には、薄切りの牛肉を主役に刻みキャベツやマカロニサラダ、そして型で抜いた白飯が仲良く鎮座している。どこから見ても洋食屋のプレートランチと思いきや、さにあらず。あの銀座の名店「マルディ グラ」のランチの一皿なのだ。

「開店19年で初めてランチを始めました。現在は『東京ビーフのバタ焼きマデラ醤油』とヴィーガン対応の『ブッダボウル』、そして『羊のラグマン』に新メニューの『スコッチエッグ』の4品です」とは、肉の巨匠こと和知徹シェフ。ジャンルを超えた独創的な料理で定評のある同店だけに、ランチも遊び心がいっぱいだ。

写真の東京ビーフの一皿にしても、フレンチでおなじみのマデラ酒と和の醤油を合わせた和洋折衷の逸品。仔牛の頃は野山を駆け巡り、自然のままに育った東京ビーフは、文字通り東京生まれの東京育ち。筋肉質の肉はかみ応えがあり、甘辛のソースとよく絡む。

「羊のラグマン」1400円。ラタトゥイユ風トマトソースの具は羊のミンチ肉にズッキーニ、パプリカなど。わざと塊状に炒めたミンチ肉は、カバブのようで食べ応えがある。トッピングした半熟卵の黄身と絡めても美味。食後にはオリジナルスパイスコーヒーをぜひ

また、世界を旅する和知シェフならではの秀作が、カザフスタンなど中近東でおなじみの麺料理「ラグマン」だ。羊脂で炒めてあり一見ナポリタン風ながら、羊独特の草の香りと香草、クミンの風味が渾然となり、味わいはエキゾチック。特注したシコシコの麺との相性も上々だ。