厚生労働省の人口動態統計によると、2020年の新生児のうち35歳以上の高齢出産に該当する母の割合は約29.2%に。1995年度の約9.5%から約3倍まで増えるなど、いわゆる「晩産化」が進んでいます。産経新聞社の中本裕己さんも56歳、奥さんは45歳で初めての赤ちゃんを迎え、SNSなどで話題に。その中本さん、コロナ禍では膝に我が子を乗せながらリモート勤務を行っていたそうで――。
人生を走りながら考えるしかあるまい
わが家に赤ちゃんがやって来た。
これまで病院でお世話になっていたこと、赤ちゃんの衣食住を、初日からすべてやらなくてはいけない。
56歳で育児を始めることになるとは思わなかった。60歳で4歳、63歳で小学校に入学し、卒業する頃は69歳か。「70歳までの継続雇用制度」が我が社でも採り入れられていれば、給料は激減していたとしても仕事はあるかもしれない。せめて、息子が大学に入るまでは……などと考え出すとゲンナリするので、ええい、これは人生を走りながら考えるしかあるまい。
とにかく育児は体力勝負である。
これから小さな怪獣と格闘する日々が始まるのだ。
産まれてすぐは1203グラムだった体重は、2800gまで増え、無事に東大を卒業(病院)した我が子は、生後3カ月でやっと家族の一員になった。家族が2人から3人になった。
24時間ともにいる「+1」の存在感は、たまに面会で顔を合わすときとは違って、想像をはるかに超えていた。ここからは、それを「56歳差」の視点で書いていきたい。