貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。第81回は「性加害が描かれたドラマ」です。
職場での立場を利用した性加害
先日最終回を迎えたドラマ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』では、職場での立場を利用した性加害が描かれた。
主人公の姉・町田恵(仁村紗和)は、ハローワークで非正規職員として働いている。同じ職場で働く土方昭彦(阪田マサノブ)から、頻繁にメールが届くようになる。このメールの文面がなんともリアル。いわゆる「おじさん構文」で、妙に馴れ馴れしく、下心が透けて見える文面なのだ。ドラマでこんなに生々しい文面を見るのは初めてかも知れない。
恵だけでなく、恵とよく昼食を共にする、同じく非正規職員の佐倉治子(酒井若菜)も、土方から同様のメールを受け取っていた。
ふたりは居心地の悪さや怖さを感じるものの、土方は正規職員で立場があり、印象を悪くすればふたりの更新に響く。そのため、ふたりは受け流すことしかできない。
恵は、同じ職場で正規職員として働く彼氏の小川大河(渡辺大知)に、意を決して土方から頻繁に送られてくるメールのことを打ち明ける。
「いつもメッセージ来るんだけど、内容がなんていうか、ちょっとセクハラっぽいっていうか、顔文字とか絵文字とかすごくて」
彼女にそんなことが起きていたら、彼氏として心配するのが当然と思うが、小川はこう言い放つのだ。
「大袈裟だよ。土方さんも、気使って若い人に合わせようとしてんじゃないの。土方さんだよ? ハラスメントから一番遠い人でしょ。顔文字使っただけでセクハラとか言われたんじゃ可哀想だって。」