現代の生きる糧として注目されている「推し活」。もともとは若者を中心に使われる言葉でしたが、昨今は「幸福寿命」の観点から高齢者に推奨する動きが活発になっています。そんな「シニア推し活」について、高齢者医療の第一人者・和田秀樹が解説した著書『60代から100歳以上まで 人生が楽しくなる「シニア推し活」のすすめ』より、一部を抜粋してご紹介します。
推し活が幸福寿命を延ばす
健康寿命の他に、平均寿命や平均余命も最近は聞き慣れた言葉でしょう。では、「幸福寿命」という言葉をご存じでしょうか?
幸福寿命とは、健康かそうでないかに関わらず、心から幸せを感じられる期間をどれだけ長く保てるかという考え方です。人生100年時代といわれる現代で、この幸福寿命を延ばすことは、ますます重要になるでしょう。そのための手段として、私はみなさんに推し活を強くおすすめします。
推し活をすると、幸せな自分を発見しやすくなります。「好きなアーティストのコンサートに行くことが何よりも幸せ」と感じたり、「推しを見るだけで元気が湧いてくる」と思ったりすることもあるでしょう。そんなふうに思えている人は、幸福感が高く、自ずと幸福寿命も長くなるものです。
オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーは、「人は、ありのままの自分を受容し、無条件で他者を信頼するなかで、私は誰かの役に立っているという貢献感を実感すること。それこそが幸福である」と言っています。