便秘で悩む人に…(写真提供:Photo AC)

「毎日歩く習慣がある人は、それだけで認知症をはじめとする生活習慣病の大半を予防できる」町医者を30年、臨床医を40年務めた長尾和宏さんはそう断言しています。さらに長い距離を速く歩く必要はなく、スキマ時間にちょこまか歩くだけで十分であると言います。なぜ歩行が認知症予防にきくのか、その医学的な理由と、効果的な歩き方を教える書籍『歩く人はボケない 町医者30年の結論』より一部を抜粋して紹介します。

歩かない人は、便秘になりやすい

便秘で悩んでいる人は少なくありません。便が出ないとお腹が張ったり、すっきりとした感覚が持てなかったりします。

便秘は、自律神経機能が低下している症状です。便秘で悩んでいる人の多くは、普段あまり歩いていない人ですが、歩いていないために、自律神経の働きが低下していることが便秘の原因の一つと考えます。

自律神経とは、文字通り自律的に動いている神経で、心臓の収縮力や心拍数を調整したり、腸蠕動(ぜんどう)を調節しています。

ヨガの達人は、自分の意思で脈をかなり遅くしたりできるそうですが、普通の人は、脈拍を自分でコントロールすることはできません。私たちの意思とは関係なく、自律的に動いている神経が自律神経です。

自律神経の太さはまちまちで、解剖すれば太いものは糸のように目に見えます。自律神経は体中に張り巡らされていて、睡眠中も24時間休まずに、全身の各臓器の働きを自律的に調節しています。