過去の自分の決断を否定しないことも大切

視点を変えるならば、「思い切って手放した」という、自分の判断と勇気を尊重する考え方もあります。

あなたが本当に手に入れてきたのは、「レコードそのもの」ではなく、それを買ったときの高揚感や、音楽に触れた時間、コレクションのある部屋で過ごした至福のひととき。

それは捨てようとしても、決して捨てられるものではありません。

モノはなくなっても、経験と記憶は、あなたの中にきちんと残っています。

昔の自分の決断を否定するのではなく、「そのときの自分は、それが最善だと思って決めた」ということを、しっかり認めてあげることも大切だと思いますよ。

人生のどのタイミングでも、人は、いまの自分にとって最適なものを選んでいます。

せっかく住み替えをして、スッキリとした気持ちで新生活を迎えられたのです。過去の決断を責めるのではなく、いまの自分がいちばん大切だと思うことに目を向けてみませんか。

※本稿は、『喪失感の壁-きもち次第で何があっても大丈夫』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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