介護サービスを利用できる人(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)

「親の介護なんてまだまだ先のこと…」と思っていても、認知症の発症や転倒による骨折、入院がきっかけで【介護は予期せぬ形で始まる】ことが少なくありません。日本は介護制度が充実していますが、いざというとき、適切に利用するためにも介護サービスの種類や手続き方法などを知っておく必要があります。医師である著者・柴田元さんが、いざ直面した時に必要となる介護の基礎知識をまとめた著書『親の介護を考え始めたら読む本』より、一部を抜粋して紹介します。

介護保険制度は、国の制度による介護サービス

地域包括支援センターが関わる介護予防・高齢者支援にはさまざまな事業がありますが、それらは都道府県や市町村が主体となって行うもので、地域支援事業とも呼ばれます。

また、サービス内容はそれぞれの市町村によって異なります。

一方、介護保険制度は国による介護サービスです。実際に介護保険制度を運営するのは市町村であり、サービスを提供するのは各地域の介護サービス事業者ですが、サービスの対象者やサービス内容、費用負担などの基本的な制度の仕組みは全国一律で決まっています。

介護の必要性が高くなり、要介護認定で「要介護1〜5」と判定された高齢者とその家族は、国の介護保険サービスを利用しながら介護をしていくことになります。

【介護保険制度の概要】
どんな人でも年をとれば体や頭が弱り、介護を必要とするときがきます。国民の誰もが避けて通れない介護の問題を社会全体で支えようという理念に基づき、2000年に導入されたのが介護保険制度です。

介護保険の財源は40歳以上の国民から徴収した介護保険料が50%、残る50%は国や都道府県、市町村の公費でまかなわれています(公費の内訳は国の負担が25%、都道府県の負担が12.5%、市町村の負担が12.5%)。みんなから集めた保険料と公費で介護サービスを提供することで、実際の利用者は少ない負担額で介護サービスを受けることができるようになっています。