恋愛関係の違い
恋愛関係でもアメリカのほうが「愛している」と日常的に伝えるのが重要であり、意見を表明して主体的に関係構築にかかわろうとする態度が見られます。
他方、日本では相手のニーズに合わせて関係を紡いだり、結婚後は夫婦の関係よりも家の中での父親・母親などの役割のほうが大きくなったりします。
さらに、ベルギーのバチャ・メスキータ教授のチームと私たちが共同研究したベルギーと日本のカップルや夫婦を対象にした比較調査では、研究室で意見の対立について議論してもらい、その様子をビデオ録画しました。議論後、参加者はビデオを見ながら、さまざまな感情をどの程度感じたかを評価しました。
するとベルギーでは怒りや強さが、日本では共感がそれぞれ重要な感情となっていました。また、ベルギーにおいては、互いに強い感情や意見を主張していくことが、日本では譲歩や思いやりを示すことが、結果的に関係の機能向上につながっていました(Schouten et al., 2020)。
※本稿は、『日本人の幸せ-ウェルビーイングの国際比較』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『日本人の幸せ-ウェルビーイングの国際比較』(著:内田由紀子/中央公論新社)
「日本人は不幸」は本当か?
本書は国際比較を通し、日本社会における幸せの特徴を探る。
また、個人の一時的な感情にとどまらず、地域コミュニティ、職場、学校などの現場における持続的な幸福(ウェルビーイング)についても考える。




