日本的な自己を形成するもの
社会学者の土井隆義による『キャラ化する/される子どもたち』という書籍では、こうした現象がよく説明されています。
場面に応じて自分のキャラをつくり、それを維持して期待を裏切らないように、つまり「このキャラじゃないだろう」と言われないように振る舞うというのです。
そう説明すると、本来の自己をいやいや捻じ曲げて相手に合わせていると受け取られるかもしれません。しかし必ずしもそういう場合ばかりでもありません。
人は社会的な動物なので、キャラらしく振る舞っているうちに内面化されたり、あるいはそもそも本来の自分というものが確固とした存在としては見当たらなかったりする場合もあるのではないでしょうか。キャラの複合体のようなものが、日本的な自己を形成しているのかもしれません。
※本稿は、『日本人の幸せ-ウェルビーイングの国際比較』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『日本人の幸せ-ウェルビーイングの国際比較』(著:内田由紀子/中央公論新社)
「日本人は不幸」は本当か?
本書は国際比較を通し、日本社会における幸せの特徴を探る。
また、個人の一時的な感情にとどまらず、地域コミュニティ、職場、学校などの現場における持続的な幸福(ウェルビーイング)についても考える。




