壮絶な役者魂をまざまざと見せつけられたことは、中井さんの役者人生の中で大きなエポックになったのではないだろうか。
――そうですね。亡くなったのが10月5日。記者会見からわずか5日後ですよ。まだ71歳。病気というのがこんなに人を削ぎ落とすのかと思わせた。
前に共演した時は、役に「緒形さん」が見え隠れしていたのですが、『風のガーデン』の時は、その役の人そのものなんですよ、緒形さんじゃなくて。
だから僕たち役者の人生は、捨てるものがない。病気でさえも吸収してそれを芝居に変えていく。それを見せてもらったことは、やはり第3の転機と言えますかね。
まだまだ感動的なお話がいっぱいありそうで。
――また続きを聞きに来てください。
中井貴一
俳優
1961年東京都生まれ。81年、映画『連合艦隊』で俳優デビュー。ドラマ「ふぞろいの林檎たち」シリーズや『武田信玄』などで不動の人気を確立。最近の主な出演作に映画『記憶にございません!』『大河への道』、ドラマ「ザ・トラベルナース」「最後から二番目の恋」「雲霧仁左衛門」シリーズなど。2026年3月から舞台リーディングドラマ『終わった人』が再々演される
関容子
エッセイスト
雑誌記者を経て、エッセイストに。1981年『日本の鶯――堀口大學聞書き』で日本エッセイスト・クラブ賞、角川短歌愛読者賞受賞。96年『花の脇役』で講談社エッセイ賞、2000年『芸づくし忠臣蔵』で読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞。『勘三郎伝説』『客席から見染めたひと』ほか著書多数。最新刊『銀座で逢ったひと』(小社刊)が好評発売中