(写真提供:Photo AC)
厚生労働省の「令和4年度 国民生活基礎調査」によると、同居している家族が介護を行う割合は全体の45.9%で、そのうち<子の配偶者>は5.4%だそうです。そのようななか、翻訳家・エッセイストとして活躍する村井理子さんは、仕事と家事を抱えながら、認知症の義母と脳梗塞で倒れた義父の介護を続けています。そこで今回は、村井さんの著書『義父母の介護』から一部引用、再編集してお届けします。

私って意地悪かな

薄れゆく情熱

私の後期高齢者介護の情熱は、見事に冷え切ってしまっている。そもそも、情熱なんてものはなかった。私しかいないから、目の前に困っている人がいたら助けなくてはいけないから、必死に動いていただけのことだった。義父というよりは義母が気の毒だったから、私は行動に移したのだ。

進行の速い認知症で困りごとが多い義母との間には、不思議なシスターフッドまで生まれていた。完璧なまでの主婦だった義母が、全ての家事を諦めた。それは彼女にとって、大きな失望であり、屈辱だっただろう。そんな彼女を見ていたら、手伝わないわけにはいかなかったのだ。そりゃあもう、過去の恨みつらみは消えていないわけだけれど、そんなことを言っていられない状況だ。

正直に言えば、義父は義母のついでだった。こういった事情で3年超にも及ぶ介護生活を送ってきたわけなのだが、今、私のなかのシスターフッドまで枯渇しつつある。理由は何か。冷静に考えてみた。そして辿りついた答えは、義父だった。