期限までに返済できないことも
また、期限までに返済できないことも少なくなかった。そして、返済不能の結果、所持地を失えば、経営がますます困難になっていき、ついには没落の危機に瀕することにもなっただろう。
それを防止するために、期限内には返済できなくても、後日、金ができたときに元金だけ返せば土地を取り戻せるという慣行が存在したのである。
この慣行は幕府や大名が保障したものではなく、村の掟や取り決めによって有効性が保障されている場合が多かった。村は村内の土地の権利関係について掌握し決定する力をもっており、無年季的質地請戻し慣行もそうした村の力に裏打ちされることによって実効力をもったのである。
村のすべての土地は本来的に村全体のものだと考えられており、そうした観念のもとで、個々の百姓の所持地は村によって管理・規制されていた(2)。
(2)…渡辺尚志『近世の豪農と村落共同体』東京大学出版会、1994年