病を得た今となっては、少しでも前を向けるように準備をしていた自分を誇らしく感じている…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは福岡県の40代の方からのお便り。昨年がんが見つかり落ち込む中、《希望の芽》を見出したそうで――。
希望の芽
昨年、私はがんを患った。家族の病気を機に、念のためと受診したところ、偶然見つかったのである。
「まさか自分が」という衝撃で、がっくりと落ち込んだが、ほどなくして《希望の芽》を見出すことに。希望と言っても、魔法のように病気が治癒する、といった類のことではない。過去の自分が行った「リスクヘッジ」に、私自身が感謝することになったのだ。
29歳の時に働いていた保険ショップの先輩たちから、将来への備えがいかに大切かを度々教えられた。素直にアドバイスを聞いた私は、がん保険に加入。そのおかげで、今回まとまった診断一時金を受け取ることができたのである。
エコノミーコースではなく、給付金が多く、ケアも手厚いコースを選んでいた若き日の自分に、「よくやった!」と心から称賛を送った。
それだけではない。2年前にマンションを購入した際に組んだ住宅ローンの団体信用生命保険「がん特約」で、3000万円のローン残高もゼロになった。本来なら、完済まで数十年かかるはずの支払いが、わずか2年で完了したのだ。
もし神様に「病気になることでローンを完済するのと、健康なままローンを払い続けるのと、どちらを選ぶ?」と問われれば、迷わず後者にするだろう。だが、なってしまったものは仕方ない。病を得た今となっては、少しでも前を向けるように準備をしていた自分を誇らしく感じている。
過去の自分が、現在の自分を救ってくれた。変に気が回る私の性質が、こんな結果をもたらすなんて。それはまるで人知れず蒔かれた種が、いつしか芽を出すように。45歳にして、私は自分をようやく好きになれた。人生捨てたもんじゃない。