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「行」という漢字には、コウ、ギョウ、アンと3種類の読み方があります。実は、漢字を「音読み」と「訓読み」に分けているのは日本だけなのだそうです。なぜ日本語の読みは、こんなにも複雑なのでしょうか?そこで今回は、音韻史の専門家である山形大学人文社会科学部・中澤信幸教授の著書『漢字と音読みの謎を解く-呉音・漢音・唐音の奥深い世界』より一部を抜粋し、「ややこしくて面白い、漢字と音読みの世界」をご紹介します。

音読みと訓読みの由来

漢字には音読みと訓読みとがあるが、そもそもこのような区別はなぜ生まれたのであろうか。

漢語が日本に伝えられるはるか以前から、日本には固有の言語が存在した。日本語の起源には諸説あり、ここでは議論はしないが、いずれにしても漢語(中国語)とは音韻・文法ともまったく異なる言語である。

この固有の日本語を「和語」、または「大和言葉」という。例えば「やま(山)」「かわ(川)」は和語である。

「たべる(食べる)」「のむ(飲む)」といった動詞、「あつい(暑い)」「さむい(寒い)」といった形容詞も和語である。モノを数える時に「ひ、ふ、み、よ……」といったり「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……」といったりすることがあるが、これも和語である。