「ああ、えっと……ほら、梅木にも会ったんだ」

「ほんとだ。ふふ、大学のミステリー研究会の同期生にも招待状を送ったんです」

「ちょっと悩んでいるようだから、行ってくるね」

「はい」

 梅木は首を傾げつつ、イベント中に入手したストーリーページの複数箇所にクリップペンシルで丸をつけていた。

「どうしたの?」

「いや、大したことじゃないんですけど、ちょっと引っかかって……三島、もうエピローグもらった?」

「もらったよー」

「三島がもらったエピローグの中に、子雀の名前って書いてある?」

「なんでわかったの? うん、書いてある。三羽の雀ちゃんのイラスト入りのしおりがクリア記念の景品になっていて、かわいいよ」

「子雀の名前って、伝統、挑戦、未来?」

 三島はきょとんと目を丸くして、首を左右に振った。

「違う。上から順に、誠実、創造、笑顔ちゃん」

「そっか、やっぱり」

 なぜ急に子雀の名前が話題になるのだろう。呆気にとられる吉晴に構わず、梅木は最終問題の解答欄に「屋上庭園」と書き込んだ。カウンターへ向かい、日下部と軽く言葉を交わして、三島とは色の異なる封筒をもらって帰ってくる。

「マルチエンディングだったのか!」

「いや、読み筋が二つあって、イベントの参加者が日本橋本店と京都本店のどっちに愛着を持っているかで答えが変わるだけだと思います。ストーリー内で、子雀がピイピイ鳴くわりにろくに動かず、ずっと『坊や』呼びされているのが気になってたんです。坊やたちが子雀なのか、卵なのか、どちらでも想像できるようになってたんですね。それによって、雀たちが帰る巣が正面玄関なのか屋上庭園なのか、変わってきます。あと、父親雀のセリフが『未来』を誰かの名前っぽく言っているように読めて、もしかしたらこっちの解答でもエンディングが用意されているのかなって」

 多いんですよそういうイベント、と梅木は少し照れた様子で言った。