『婦人公論』8月25日号の表紙に登場している明日海りおさん(表紙撮影:篠山紀信)

小学校時代以来、のんびり過ごした時間

『ムーラン』は当初今年4月に公開予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期が決定。ほかの仕事も次々キャンセルになり、一時は不安で落ち込みました。でも、せっかく家にいるなら時間を有効活用しようと、気持ちを切り替えたんです。

まずは体を動かすために、動画を参考にストレッチ、ヨガ、筋トレなどに取り組みました。でも、一人で続けるのはやっぱり大変で、途中でくじけてしまって。私は指導してくださる方がそばにいないとダメなタイプですね。ちょっとのんびりすることに慣れてしまいました。(笑)

それにしても、あんなにのんびり過ごしたのは小学校時代以来です。中学校の頃は、夏休みも毎日バレエの練習をしていましたから。今まで趣味の時間が持てなかったので、大人の塗り絵に没頭したり、ギターを練習したり。

そして、毎日夕食後を映画の時間と決め、観そびれていた名作や、アカデミー賞、カンヌ国際映画祭の受賞作などを1日1本観ていきました。衝撃を受けたのは、是枝裕和監督の『万引き家族』。安藤サクラさんの演技に引き込まれ、安藤さんが出演する作品を立て続けに観ました。

宝塚在団中は、役作りのために関連のある映画を急いで観ることが多かったので、映画を味わうことの豊かさを堪能できたことも収穫でした。ゆったりしたテンポの作品もあれば、息もつけないほど展開の早い作品も。豪華な衣裳や鮮やかな色彩に目を奪われたり、CGを駆使した映像に刺激を受けたり。まだ出会っていない表現方法が山ほどあることに気づき、さまざまなことにチャレンジしたいと、前向きな気持ちも生まれてきました。

また、舞台への想いもふつふつと湧いてきています。舞台はセットや照明、音響など、さまざまな分野の人が集まって創る総合芸術です。お客様と空間を共有できることの貴重さや幸せも、あらためて感じています。

私は「演じる」ことが何より好きですし、生きがいです。それはこれからも決して変わることがないと、身をもって示していきたいと思います。

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