サメの減少による影響

他方、2020年に、オーストラリアのジェームズクック大学のサマンサ・シャーマンたちは、サメの減少がアカエイにどのような影響をもたらすのかを調べた。東南アジアなどのサンゴ礁数ヵ所に、アカエイを引き寄せる小魚付きのリモート水中ビデオカメラシステムを設置し、エイとサメを観察した。サンゴ礁にはオグロメジロザメやツマグロ、ネムリブカの3種のサメが観察された。

調査の結果、あるエリアにいるサメの数が多いほど、アカエイが少なくなることが判明した。別のエリアでは、サメの数が少なくなるとエイが狩りをしやすくなり、繁殖してより多くの子供が生まれることが明らかになった。

『日本の海から魚が消える-温暖化、IUUの問題から陸上養殖の挑戦まで』(著:矢野勲/中央公論新社)

こうした一連の報告から、東南アジア南方の海で、天敵のサメがいなくなるか、あるいは激減したため、ナルトビエイが大幅に増えたと考えられる。

この増えたナルトビエイは、地球温暖化による海面水温の上昇によって、2000年頃から大きな群れとなり黒潮に乗って九州沿岸に北上し、有明海に来遊してアサリを大量に食害するようになったと思われる。