母親が倒れたあと7月から10月まで、ストレスが溜たまっていたのは事実だった。夏は暑かったので、冷たくて甘い物を必ず食べていた。日中も仕事をしながら、和菓子を6個食べるなど、平気だった。夜、アイスクリームを4個食べなければ気が済まなかった。
そのときはそれで気分を晴らしていたのだが、冷静に考えれば、それが体にいいわけがない。若い人だったらともかく、50歳を過ぎたおばさんがやるようなことではない。まさにこれは失敗だった。
先生に煎じ薬を調合してもらい、しばらく服用していたら、ある日、すっかり治っていた。先生によると、私はそれまでケミカルな薬をほとんど飲んでいなかったので、子ども並みに薬が効いたそうだ。そしてその先生には、それから18年に亘(わた)ってお世話になり続け、私の主治医になっている。
50代はいろいろあるわいと思いながら、子どもがいる人は、入学だったり就職だったり、結婚の問題も出てくるだろう。一方で親の老いも顕著になってきて、たまに母親に会ったときに、口には出せないけれど、
(こんなにおばあさんだったっけ)
と驚くことが多々あった。私よりひと回り若い人たちも、「正月休みに実家に帰ったら、母親が小さくなっていたのでびっくりした」「父親は背中が丸まって、確実にじじいになっていた」などと話すのを聞いた。
子ども、親、そして自分の体も快適とはいいがたい状態で、あれやこれやと予期せぬ出費もあるし、50代ものんびりと過ごせるような時期ではなかった。それでも私は子どももいないし、親の介護もしていないので、他の人たちに比べれば、やはり楽をしてきたといえるだろう。
