で、自分の話である。私としてはまだ同居しているネコが元気だったし、この子を看取るまでは、絶対に死ねないと思っていたので、それまでは何とか生きなければと考えていた。

その後はどうでもよかった。私のいちばんの目的は、ネコをきちんと看取ってやるということしかなかった。うちのネコは風邪ひとつひかず、とにかく元気がよかったが、女王様気質はまったく変わらず、私はずーっと僕(しもべ)として仕えていた。

「いつまでも元気でいてください」

そうネコにいったら、ネコはどういう顔をするかと思ったら、

「はあん?」

という様子で軽く無視された。まるで、

(何をいってんの、あんた)

といっているような表情で、つい、

「どうもすみません」

と謝ってしまった。私が謝ると、ネコは満足したようだった。

 

※本稿は、『この家に生まれたことが失敗だった?』(群ようこ:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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群ようこ68歳にしてお茶を習う。4カ月経ち、格式の高い濃茶に挑戦。いろはを唱えて練った初の濃茶は、折れた茶筅の穂先が二本入っていた

『この家に生まれたことが失敗だった?』(著:群ようこ/KADOKAWA)

――お金に仕事、家庭運。考えてみれば70年、しでかしたりやられたりだった。

小説家・群ようこさんが綴る、家族、仕事、お金、そして70年の人生。
群さんならではの、ユーモアと温かな視点で軽妙に綴ったエッセイには、思わず共感し、心がふっと軽くなるエピソードが詰まっています。