で、自分の話である。私としてはまだ同居しているネコが元気だったし、この子を看取るまでは、絶対に死ねないと思っていたので、それまでは何とか生きなければと考えていた。
その後はどうでもよかった。私のいちばんの目的は、ネコをきちんと看取ってやるということしかなかった。うちのネコは風邪ひとつひかず、とにかく元気がよかったが、女王様気質はまったく変わらず、私はずーっと僕(しもべ)として仕えていた。
「いつまでも元気でいてください」
そうネコにいったら、ネコはどういう顔をするかと思ったら、
「はあん?」
という様子で軽く無視された。まるで、
(何をいってんの、あんた)
といっているような表情で、つい、
「どうもすみません」
と謝ってしまった。私が謝ると、ネコは満足したようだった。
※本稿は、『この家に生まれたことが失敗だった?』(群ようこ:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
『この家に生まれたことが失敗だった?』(著:群ようこ/KADOKAWA)
――お金に仕事、家庭運。考えてみれば70年、しでかしたりやられたりだった。
小説家・群ようこさんが綴る、家族、仕事、お金、そして70年の人生。
群さんならではの、ユーモアと温かな視点で軽妙に綴ったエッセイには、思わず共感し、心がふっと軽くなるエピソードが詰まっています。




