しかし帰国してすぐ、私は松山バレエ団の公演を観て、今度は胸にガツンと衝撃を受けることになります。
舞台に、松山樹子先生が登場した瞬間、息を呑みました。ただそこに立っているだけなのに、平和を掴み取っていくんだという強いメッセージが体からあふれ出ていた。そこには圧倒的な存在感があり、鳥肌が立つほど、心が動かされたのだと思います。
この方に、バレエを学びたい――。当時は別のバレエ団に所属していたため、一度は入団を断られるも、橘先生が亡くなられた後に再訪すると、入団を認めていただくことができました。そこから、私の人生は大きく動き出したのです。
松山バレエ団では、作品の台本を全員で読み込み、作品の全体像を共有し、内面を深めてからレッスンに臨みます。初めは驚きましたが、これが表現に厚みと奥行きを与えると知り、今では何よりも大切にしています。