女性に多い背景の一つが「寛骨臼形成不全」
平井 寛骨臼形成不全とは、どのような状態でしょうか。難しそうな言葉ですが、前回の「ボールとお椀」のたとえで説明できますか。
高平:できます。股関節は、大腿骨の先端にある丸い大腿骨頭(だいたいこっとう)が、骨盤側の寛骨臼(かんこつきゅう)というくぼみに収まっています。寛骨臼形成不全は、その「お椀」のかぶりが浅く、大腿骨頭を十分に覆えていない状態です。この状態を、医学的には寛骨臼形成不全と呼びます。
平井:かぶりが浅いと、何が起きるのでしょうか。
高平:同じ体重を受け止めるとしても、支える面積が小さければ、一部に負担が集中しやすくなります。ただし、寛骨臼形成不全があるからといって、必ず痛みが出たり、必ず変形性股関節症になったりするわけではありません。画像上では形成不全があっても、症状なく生活している方はいます。反対に、痛みがあるからといって原因が寛骨臼形成不全とは限りません。診断には、症状、診察、X線(レントゲン)画像などを合わせて判断する必要があります。
平井:なぜ女性に多いのでしょう。
高平:「発育性股関節形成不全(はついくせいこかんせつけいせいふぜん)」は乳幼児期からみられる股関節の発育の問題ですが、医学研究では女性であることがリスク因子の一つとして繰り返し報告されています。つまり、40代や50代になって突然「女性の股関節が弱くなる」というより、もともとの股関節の形や発育上の背景があり、長い年月の中で負担が積み重なり、ある時期から症状として自覚されるケースがある、と考えた方が実態に近いのです。