「ロックバンドとミュージカル俳優は、違うジャンルのことをやっているように思われがちですが、僕はあまり境界線があるとは感じていません」

ロックバンドとミュージカルと

青春を全部、舞台に捧げたかと言えば、そうではなくて、高校時代だけはバンド活動に打ち込んでいました。それが今の「CYANO TYPE(シアノタイプ)」というバンドをやろうと思った原体験です。

ロックバンドとミュージカル俳優は、違うジャンルのことをやっているように思われがちですが、僕はあまり境界線があるとは感じていません。例えばブロードウェイでトニー賞を総ナメにした『ハミルトン』はラップ&ヒップホップですし、『RENT』『NEXT TO NORMAL』はロック&ポップス。

ミュージカルって朗々と歌いあげるっていうイメージがあるのかもしれませんが、僕は普通の台詞の延長に、自然に歌があるべきだと思っていて。今のボイストレーナーの先生ともそうやって声作りに取り組んでいます。

僕は昔のドラマや映画を見るのが好きなのですが、日本にも、江利チエミさんや美空ひばりさんの時代に、今で言うミュージカルのような作品がたくさんありました。まさにあの時代の作品って、本当に自然に歌のシーンになるんです。いつの間にかそういった世界観が廃れてしまった。

「突然歌いだしてびっくりするからミュージカルは苦手」という人もいるようですが、昔の日本のエンターテインメントにはちゃんとミュージカルの土壌があったんですよね。