「人生の総決算は、死ぬ瞬間にしかできないのではないでしょうか」(撮影:本社写真部)

作家としても個人としても、あれほど幸せな人はいない

訃報が流れてからというもの、多くの人が瀬戸内さんとの思い出を語っている。そして林さんは瀬戸内さんを「あんな幸せな人はいない」と言う。

「いつもまわりにたくさん人がいて。死ぬまで現役で、編集者にも尊敬されて。孫のように可愛がっていた(秘書の瀬尾)まなほさんもいたし、そのお子さんもなついていました。さらに、お嬢さんとも和解して、今は交流していらっしゃる。『捨てた娘だから、頭が上がらないの』なんておっしゃっていたけれど。作家としても個人としてもあれほど幸せな人はいないです」

瀬戸内さんは、2021年1月の『婦人公論』のインタビューで、以下のように語っていた(「今年99歳。夜中に転倒し入院しても、いまだ書ける喜び」)。

〈人の運命というのは、どう動くかわかりません。人生の総決算は、死ぬ瞬間にしかできないのではないでしょうか〉