子どもには見える大事なもの

ある友人の話。その人が息子さんとおしゃべりをしていると、「**くんがね」「**くんがね」と、しょっちゅう名前がでてくる友だちがいる。元気で、おりこうさんで、クラスの人気者らしい。

『おいしい子育て』(著:平野レミ イラスト:和田誠/ポプラ社)

どんな子なのかしらと思っていたら、学校で、たまたま見かけるチャンスがあった。

「あれが**くんだよ」とその息子さんが指さしたのは、たくさんの友だちに囲まれて笑っている車椅子の少年だった。

「ぜんぜん知らなかったから、正直言ってドキッとしたわ」と、その友人が言います。

そして、「もし私だったら、その子のことを話すとき、からだが不自由で、車椅子に乗っていることを真っ先に言うと思う。なんだか自分が恥ずかしかったなあ」。

大人が気にするようなことは子どもには関係なく、子どもたちにはもっと大事なものがちゃんと見えているんですね。人ごとながら、私も反省させられる、いいお話でした。