時代が変わるたびに服装も大きく変わったけど、たぶん今の時代のファッションが、スキンヘッドに一番似合う。両耳はピアスだらけで、破れたバンドTシャツに破れたブラックジーンズ。足にはドクターマーチンのブーツ。口紅は真っ赤だし、アイライナーもばっちり入れる。地上には、私みたいな女がほかにもたくさんいる。私のスタイルにようやく時代が追いついた。遅いよ。

 文化的にも私は今の時代が好きだ。ポップカルチャーっていうのかな。音楽もたくさん聴くし、映画もどんどん見る。今年は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサが私と同じ髪型だったから、すごく誇らしかった。うれしくなって、四回も見に行ってしまった。通路とか座席の上とかいろんな場所にふわふわ浮かんで、私はフュリオサの活躍に喝采を送った。固唾をのんでスクリーンを見つめている人たちのキャラメルがけポップコーンやコーラを失敬したりしながら。楽しかった。

 死んだ後の妻があまりにも楽しそうなので、声をかけそびれてだいぶ経つ。

 一人目の妻だ。生きているときは病弱で結婚してからあっという間に死んでしまったせいか、死んだ後の方が生き生きとしている。

 実際、二人とも同じ職場で働いているのだが、会社が大きいこともあって一向に気づく気配がない。マジで、と思うほど彼女は気づかない。