ほんの少し場所を変えて好きなことをして過ごすだけで、職場の人間関係や独り身の鬱屈、焦り――などが、ほんの少しまぎれる(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは40代の女性からのお便り。仕事帰りに、近場のホテルへ。旅行でも用事でもないときにホテルに宿泊してみたいという憧れに、実際に挑戦してみたところ――。

一人で泊まる楽しみ

月に一回程度、近場のホテルに泊まるのが、今の私のささやかな楽しみ。きっかけはYouTubeで、若いOLが気晴らしのため、仕事帰りに近くのビジネスホテルに宿泊する動画を観たこと。いちどは旅行でも用事でもないときにホテルに宿泊してみたい、という憧れがあったので、実際に挑戦することにした。

仕事が終わり、そそくさと会社を後にしてホテルへ向かう。チェックイン前に、おいしそうなご飯をお店でテイクアウト。狭いながらもきちんと整頓された部屋で、その包みを広げるとあたたかな匂いがあふれる。至福の瞬間だ。

備品のポットで湯を沸かし、家から持参したティーバッグで紅茶を淹れ、マグカップでがぶがぶと飲む。アルコールは一切駄目だが、紅茶が大好きな私は、酒酔いならぬ、紅茶酔いの状態に。

自宅アパートの薄い壁を隔てた隣の騒音にも悩まされずに、夜遅くまで本を読んだり、テレビを観たりして過ごす。

ほんの少し場所を変えて好きなことをして過ごすだけで、職場の人間関係や独り身の鬱屈、目標としていることで思うように成果が出ない焦り――などが、ほんの少しまぎれる。翌日は朝一番に朝食会場に乗り込み、しっかりと食べる。

最近は、県内や近県住民を対象にした旅割プランで宿泊。配布されるクーポンで実家へのお土産を買って帰る。次はどこに泊まろうかな。密かに待ち遠しい。


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