子供のような年寄りになるのは、やはり失敗した老年を迎えたこと
他者を愛することが自分を幸せにする、という一見矛盾した心理を認めること、これが第三の条件なのだが、この程度のことは誰でも知っていると思っていると、それがそうでもない。
老化は利己主義の方向にどんどん傾くからである。
自分だけの利益や幸福を追求しているうちは、不思議なことに自分一人さえ幸福にならない。
これは別に老年だけの特殊事情ではないのだが、若い世代でも、まず自分の利益を守ることが人権というものなのだ、と教わったらしいから、幸福になりようがない。
自分のことだけを考える子供のような年寄りになるのは、やはり失敗した老年を迎えたことなのである。