空間が増えるということは、老年の家事労働が楽になること

空間が増えるということは、老年の家事労働が楽になることなのである。拭き掃除も簡単になる。探しものもしなくて済む。腰が痛い人は屈まなくていい。嫌な匂いを家の中に溜めず、いつも風通しのいい状態を保てる。

『新装・改訂 六十歳からの人生』著:曽野綾子/興陽館

床もテーブルも物置ではない。ものはその本来の目的のために働けるようにしてやることが大切だ。

床は移動のための空間なのだから、何も障害物なしに動ける状態がよく、テーブルは食事のためだけにいつも空けておかなければならない。冷蔵庫の中のものも、古いものから残さずに使って、必ず別の料理に使う。

しかし衣服などいつも古いものばかり着ていると、老人自身が古びているのだからますます見苦しくなる。時々古いものを捨てて新しい衣服を取り入れ、こざっぱりした暮らしをするのが私の理想だ。