橋田文化財団を引き継いで
2022年、橋田文化財団は30周年を迎えました。その記念に、2023年の新人脚本賞の入選作品を、映像化することが決まりました。総合プロデューサーは私がつとめます。
橋田さんは常にドラマで、人と人の触れ合いの大切さを描いてきました。その志を継ぐ新人の登場を、私も心待ちにしています。
橋田さんとは60年余の間、数え切れないくらいの作品を一緒に生み出してきました。橋田さんにとって“生きがい”だった仕事の場で伴走してきた私のことを、本当に妹のように思っていてくれたのかもしれません。
※本稿は、『歳はトルもの、さっぱりと』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『歳はトルもの、さっぱりと』(著:石井ふく子/中央公論新社)
『渡る世間は鬼ばかり』などホームドラマで知られる石井ふく子さんは96歳の現役プロデューサー。その暮らしは、縁を大切に育てる「おかげさまの心」にあふれています。近所に住む女優たちに「ちょいと菜」を差し入れ、医者通いの輪を広げ……つかず離れずさっぱりと、それでいて情深い"世話焼き"は、往年のスターたちに学び、磨かれました。ひとりで生きてきたけれど、人はひとりではない。石井ふく子流、老いを生きる知恵が満載。