心身の緊張をほぐし、安定をもたらしてくれるヨガ。更年期に表れるさまざまな不調も、緩和する効果があるようです。ヨガを日常生活に上手に取り入れてみませんか?(イラスト=おおの麻里 取材・文=大田由紀江 構成=渡部真里代)
深い呼吸とポーズに集中。自律神経が整い、不調が和らぐ
40代の半ばごろから、心身にさまざまな不調をきたす更年期症状を感じる女性が増えてきます。
産婦人科専門医でスポーツドクターの高尾美穂先生は、15年ほど前から更年期医療の一助としてヨガを取り入れ、効果を上げてきました。
「更年期とは、閉経を挟む前後10年間を指します。更年期の体調は個人差が大きく、不調を訴える女性は6割ほど。うち3割弱の人に、日常生活に支障が出るほど重い症状があり、その場合は『更年期障害』と診断されます」(高尾先生。以下同)
こうした更年期症状を引き起こす一番の原因は、自律神経の乱れだそう。加齢により卵巣機能が衰え、女性ホルモンの分泌が停止すると閉経に至りますが、このホルモン環境の変化に、体はすぐに順応できません。中でも卵巣に対して女性ホルモン分泌を命じる脳の視床下部は、ホルモン減少を察知すると、もっとホルモンを出すよう卵巣に指令を出し続けるため、過活動状態に。
「視床下部には、呼吸や心拍、消化、排泄などの生体機能を司る自律神経を制御する役割もあります。そのため、視床下部の混乱は自律神経に影響を与え、心身にさまざまな不調をもたらすのです」
幸いヨガには、「自律神経を整える働きがある」と高尾先生は話します。そのメカニズムを見ていきましょう。