中学受験には成功も失敗もない
そんな「全員受験」が前提の私立小学校ですが、私が異動した当時は、中学受験を前面に出した方針は取っていませんでした。
それは、中学受験と「塾」は切り離せないので、教育に塾の影響があるのを嫌う教員が一部にいたことも影響しています。
また、保護者も表立って中学受験を話題にするのは控える傾向がありました。周囲の目を意識するがゆえのことだったかもしれません。
中学受験には、メリットとデメリットがある。よく言われることです。
中学受験に否定的な意見の人は、詰め込み教育だ、夜遅くまで塾にいるのは不健全だ、子どもは小学生の間はのびのびと遊ぶことが大切だ、と言います。確かにそうしたマイナス面があることは否めません。
しかし、中学受験をするしないにかかわらず、習い事をたくさんさせている家庭もあれば、子どもがゲームばかりしている家庭もあります。両親が共働きの場合は学童で過ごす子どもたちも大勢います。
今、小学生たちは、学校から帰って、ランドセルを放り投げてすぐに外で友だち同士、のびのびと遊ぶ、という時代ではなくなっているといえるでしょう。
デメリットを超えるメリットがあることは、受験した当事者たちがよく話してくれます。子どもたちは遊び感覚で勉強し、友だちと楽しく塾通いをしていたと、よい思い出として語ってくれています。
これは中学受験に成功した子どもだからこその感想だと思われるでしょうか?
中学受験には成功も失敗もありません。長い人生の通過点であり、一里塚ではありますが、そこで将来が決まるわけでもなんでもないのです。
自分の小学校生活は楽しかった、という思い出を語ってくれる生徒が多いのは、受験という目標を掲げてがんばっていたことも大きいように思います。
保護者の考え方、取り組み方次第で、中学受験は親子がともに大きく成長するチャンスにもなるのです。お子さんの人生を豊かにし、よく生きるきっかけになります。