さらに深刻なのは…

さらに深刻なのは、家族と同居している高齢者のほうが、実は一人暮らしの高齢者よりも自殺する割合が高いという現実があることです。

一般的には「一人暮らしの高齢者は孤独でかわいそう」と思われているかもしれませんが、実際には家族と一緒に暮らしている人のほうが「自分は家族のお荷物になっているんじゃないか」と引け目を感じていたり、働いていないことについて何かと皮肉を言われたりして、大きなストレスを抱えていることも多いのです。

(写真提供:Photo AC)

それが続くと、次第に部屋にこもりがちになって孤立してしまう人もいます。

また、「人に迷惑はかけたくない」という思いが強い人ほど、家族に介護されることを重荷に感じます。そうした心理状態の末に、自ら命を絶ってしまう高齢者もいるのです。

ですから、親子での同居は慎重に考えるべきです。

たとえ子どもから提案されたとしても、どうも気が乗らないとか、心配に感じることがあるなら、きちんと自分の気持ちを伝えることが大事です。

それに、お互いの思いをなるべく率直に伝えておいたほうが、将来的にも良好な関係を保てるはずです。たとえ親子であっても、何でもわかり合えるわけではありませんから、普段から本音で話し合える関係性を築いておくことが大切です。