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人生の後半に入ると「これからどう生きたらいいのか…」「終活を始めなければ…」と悩む方も多いのではないでしょうか。しかし「終活よりも先に、人間関係やお金、感情などの<身辺整理>をするべき」と語るのは、医師として多くの患者を診てきた鎌田實先生です。今回は、そんな鎌田先生の著書『身辺整理』から一部を抜粋し、最後に「いい人生だった」と思うために今やっておくべきことをお届けします。

人生には賞味期限がある

日本人の保有する金融資産の平均値についてですが、最近のデータでは、20代で508万円、40代で1293万円、60代で2581万円、70代で2450万円となっています。

これは、中央労働金庫の調査によるものです。サラリーマンをしていた人の金融資産が60代でピークになっているのは、70代になって若干、資産を取り崩していくからだと思います。

僕はこの数字を見て、大事なことを考えました。

若いときは、世界を見たり、面白い経験をしたり、新しい自分の生き方を考えたりするためにも、自分自身に投資したほうがいいのではないか、無理に貯蓄をしなくてもいいのではないか、と思ったのです。

鎌田實
(写真提供:明日香出版社)

いちばん価値のあるお金の使い方ができるのは、むしろ若いときだと考えたほうがいいと思います。わかってはいても、この時期にお金がない人は多い。自分の人生を振り返っても、この時期はとても厳しかった。両親が貧しかったので、両親に給料の半分近くを渡して支援していました。自分の成長のために使う余裕はありませんでした。

イギリスのルネッサンス最後の時代を生きた哲学者、フランシス・ベーコンの言葉に、「金銭は肥料のようなもので、ばらまかなければ役に立たない」というのがあります。あの時期に自分を成長させるために、肥料をばらまくようにお金を使えたらよかったなと思います。

フランシス・ベーコンの言葉は、若いときだけでなく、70代となったいまこそ、自分にときどき言い聞かせるようにしています。そして、60代から70代になったときに、自分のため、あるいは家族のために、お金を使い切って死んでいく。

人生には賞味期限があることを忘れないように。いろいろと楽しいことを味わえるかは人によって違うけれど、80を超えると、いろいろなことがやりたくてもやれなくなる。賞味期限内に人生を楽しむことです。