『終活』という言葉を聞いて、なんだか後ろ向きなイメージがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。精神科医である和田秀樹先生は「終活は『終わりの準備』ではなく、「これからを楽しむ」ための準備です」と語ります。そこで今回は和田先生の著書『死ぬまで楽しく生きる本』より一部を抜粋し、前向きでポジティブな終活論をお届けします。
新常識 要介護になったときの予習をする
年をとるほど介護リスクは上昇
予防しようとがんばったけど、それでも要介護になってしまったら、どうすればよいのでしょうか。
それはしかたありません。年をとればとるほど、要介護のリスクは上がります。決して、努力が足りなかったわけではありません。
要介護になったのなら、介護保険を利用しましょう。介護保険料をずっと払ってきたのですから、堂々と利用すればよいのです。
ところが、介護保険の使い方をちゃんと知っている人は少ないようです。なぜなら、多くの人は、「自分だけは要介護にならない」と思い込んでいるからでしょう。
がんも同じですね。国民の2人に1人が一生の間に、がんになるのに、なぜか自分だけは、がんにならないと思い込んでいます。そんな人が、突然がんの診断を下されるため、医者のいうまま苦しい治療を受けることになってしまうのです。
がんという病気は、治療を受けなければ99%の人は楽に死ねる病気です。しかも死ぬ数日前くらいまでは十分話もできます。私は自分ががんになっても、つらい治療はしないと決めています。いずれにしても、治療を受けるにしろ、受けないにしろ、自分ががんになったときのことを考えておくことは大事です。
認知症も同じです。私が高齢者専門の浴風会病院に勤めていたとき、亡くなった高齢者の解剖の結果を見たら、85歳以上で脳にアルツハイマー病の病変がない人はいませんでした。それなのに、がんと同じで、誰も自分だけは認知症にならないと信じています。
要介護になる確率も、長生きすればするほど100%に近づいていきます。それなのに、介護保険を使うシミュレーションを誰もしていないのです。