健康を支えるための有効な選択肢は

もっとも、ここで見落としてはならないのは、当時のアメリカ人が1日に300gもの肉を食べていたという事実です。そこから「肉の摂取量を減らしましょう」という運動が行われたわけですが、同じ時代の日本人の肉の摂取量は、なんと1日当たり70g前後。アメリカの4分の1、いやそれ以下といってもいいほどの量しか食べていませんでした。明らかに、当時の日本は肉不足の国だったのです。

本来なら「もっと肉を食べましょう」と言うべき状況だったにもかかわらず、日本の医療界はアメリカ式の肉悪者論をそのまま輸入し、「肉や脂質は控えなさい」というメッセージを繰り返し広めてしまいました。その結果、「動物性脂肪は悪いもの」「コレステロールは体を傷つけるもの」というネガティブなイメージが社会に強く根付いていったのです。

こうした歴史的背景もあり、動物性のガラや肉から出汁を取り、表面に脂が浮くラーメンは、真っ先に危ない食べ物の仲間入りをしてしまいました。濃厚なスープやチャーシューを見るだけで「脂が多い」「コレステロールが怖い」と条件反射のように思い込んでしまうのは、この刷り込みが大きく影響しています。

ところが実際には、現代の日本人の多くはたんぱく質も脂質も不足しています。血管や筋肉を作る材料が足りなければ、かえって老化が進みやすくなるばかりか、血管がもろくなって破れやすくなり、免疫力も落ちてしまいます。つまり、本来必要な栄養が不足している状態なのに、誤った常識によってさらにそれを避けてしまっているのです。ラーメンのスープ(動物性の出汁)やチャーシューは、決して一律に排除すべき悪者ではありません。それどころか、現代の日本人に不足しがちな栄養を補うための貴重な栄養源の一つであり、健康を支えるための有効な選択肢として、改めて再評価してもよい食材と言えるのではないでしょうか。

※本稿は、『ラーメンと健康 「炭水化物=悪」ではない』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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『ラーメンと健康 「炭水化物=悪」ではない』(著:和田秀樹/KADOKAWA)

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