いつも好奇心を磨き上げておきたい
私には7人の孫がいます。そのうち4人が女なのですが、私の背中を見ながら大きくなったからでしょうか。みんな手を動かして、ものをつくるのが好き。そして、きれいなものを着るのも大好きです。
長男の娘、泉はアメリカの学校を出たあと、ファッション・デザイナーの仕事に興味を持つようになり、ドレスメーカー学院に通っていました。自分のつくった作品を着るファッションショーを行った際、ちょっと目立ったのか、スカウトされたのです。
それにあれも欲しい、これも買いたいと、いろいろなものが欲しくなる年代でしょう。でも、あまりお小遣いをあげないものですから(笑)、芸能界の仕事に心惹かれたみたい。私としては、将来デザインの世界に戻ってきてくれたらいいなと思っています。
泉たちはよく、私のオフィスに来るのですが、困ったことや人間関係の悩みなどがあると相談に乗ることも。私が「あら、そう? でもこういう考え方もあるんじゃない?」などとアドバイスします。新しい仕事のオファーが来たときも「どう思う?」とよく聞かれますが、「私の意見はこう。でも、決めるのは自分よ」と答えます。
いつも私は、自分で決め、自分で道を切り拓いてきました。今もいろいろいただくオファーのなかから、体力とのバランスなどを考えて、これはぜひやりたいというものを自ら選択しています。
どんな仕事も、スタートの時点ではゼロです。でも、「ここをもうちょっと極めたいな」と思うことをテーマに掲げながら、次に進むのです。新たなテーマや課題は、次々と湧いてきてやむことがありません。
ここまで長く続けてこられた一番の理由は、やはり好奇心ですね。恐れずやってみよう、という気持ちがなくなったらおしまい。ですからいつも好奇心を磨き上げておかないと。そのためには新しいものを発見するのが大事。本も読むし、音楽会へも行くし、興味のあるお誘いがあればすぐ出かけていきます。
健康管理はとくに何もしていません。「仕事が面白い」と感じることが、一番の健康の秘訣でしょうか。そして食べることが大好き。食は大事ですよ。自分に栄養をあげるわけですから。
年齢とともに、ものの見方も少し変わりますね。外国で仕事をしていた頃は、「私は日本人よ」と思って生きていましたが、今こうやって日本に帰って暮らしていると、「私は地球人よ」と感じます。やはり海外ではどこか肩肘を張っていたのでしょう。今はそういうものがすっかりなくなり、自由な境地です。
歳のことは考えたことがありません。時間は毎日、続いています。今日を精いっぱいちゃんと生きて、明日がある。その連続で、これまで仕事を続けてきました。