与一さんはもう、美女たちにモテモテ。アイドル歌手小川知子さんと結婚。

――僕が30代半ばでしたかね。当時婚約してた相手の親が大会社の方で、「役者やめてくれ」って言われた。それであちらも婚約相手の親が「歌い手との結婚は許さない」ということで、破談した者同士が意気投合したわけですよ。

男みたいな人で、家事はすべて僕がしましたけど、すごく気持ちが楽でしたよ。でも何年かで別れて、その後はまたぐっと若い女性と結婚して、子ども4人は今や立派に巣立ちました。

 

それで、今後のご予定とか、夢とかは?

――当面の予定は9月の舞台『新説雪之丞変化』です。林佑樹が役者の雪之丞で、僕が盗賊の闇太郎をつとめます。これ、二役とも長谷川一夫の当たり役でしたけどね。

僕はひばりさんと『小判鮫お役者仁義』という映画で、闇太郎役をやって、ひばりさんからいろいろ教わりました。あの人は男の役がうまかったですね。「こういうふうにできないかい?」って、実にいい格好をしてみせる。だから今度の闇太郎は長谷川よりもひばりさんなんですよ。

それで夢を語るとすれば、もしも宝くじが当たったら、自主公演で歌舞伎をやる。歌舞伎は義太夫から黒御簾からすべて生ですし、衣装から道具から、もう億単位の予算が必要です。

でも、もし当たったら、僕は上方式の『石切梶原』をやりたい。もうみんなにツバつけてあるんです。僕が梶原(平三)、大庭(三郎)が彌十郎さん、俣野が猿弥君、六郎太夫が歌六さんで、娘の梢は林佑樹を抜擢する。もし当たったら。(笑)

 

当たった方がひと肌ぬいで、実現させてくれるといいですね。