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食事の品数は豊富でも、体に必要な栄養素が摂れていない人は思いのほか多い、と話すのは管理栄養士の関口絢子さん。健康長寿の分かれ道となる、食事のコツを紹介します(構成=山田真理)

毎食同じ作り置きが並ぶ食卓

私は管理栄養士、料理研究家として、腸内環境や血流の改善、アンチエイジングなど、健康効果が期待できるレシピをユーチューブで紹介しています。

私たちの体は食べたもので作られているため、食材の選び方や食べる順番によって老化を加速させてしまうことも、ゆるやかにすることもできる。「食」は、長い人生を若々しく過ごしていくためのカギなのです。

ところが、ある食品会社が行った食生活調査で気になる結果が出ました。内容は、幅広い年代の人に朝昼晩3食を3日分、写真に撮ってもらうというもの。

その中でシニア世代の食卓を見てみると、品数は多いのに、毎食同じ作り置きのキンピラや漬物などが並んでいる。また、肉類などのタンパク質が少ない、使っている野菜の種類が限られているなど、「ちゃんと食べているようで、実は栄養が偏っている人」が多くいらっしゃったのです。

心身を健康に、若々しく保つには、約50種類ある必須栄養素をバランスよく摂らなければいけません。調査結果のような食事を続けると、一部の栄養素ばかりを摂取することになるため、臓器の働きや新陳代謝などがうまく行われず、老化を加速させる原因になるのです。

とはいえ年を重ねると、日々の食事作りを面倒に感じたり、食が細くなったり。夫婦2人やひとり暮らしだと、食材をいろいろ買っても余らせてしまうといった悩みもよく耳にします。ですから、シニアほど栄養素を効率よく摂っていく工夫が必要なのです。