浸潤性小葉がん

「部位は右乳房で、ステージ3Aです。右腋窩(腋の下)リンパ節に転移もあります」

ステージ3A、リンパ節転移……。次々と深刻な病状が告げられる。あまりにもサラッと言うので、驚くタイミングを逃した感じ。

正直、ママには直接聞かせたくなかった。隣に座っているママがどんなリアクションをとっているのか、怖くて見られない。「かわいそうなところにママを連れてきちゃったな、ひとりで来るべきだったな」。そう後悔した。

マネージャーは、相当ショックを受けていた。こういうときって意外に女よりも男の方が弱いのかもしれない。

診察室がシーンと静まり返る。

「アンナさんの乳がんは、希少がんにあたる浸潤性小葉がんになります」

シンジュンセイショウヨウガン?

聞いたことのない病名に頭の中で「?」がいくつも浮かぶ。

ママはローマ字で「shinjunsei syouyou gan」と、病名を一生懸命メモに取っている。

先生の説明によると、浸潤性小葉がんは乳房を構成する組織の小葉に発生する乳がんの一種らしい。「希少」というだけあって、発生率は乳がんの中でも、たったの5~15%ほど。歳を超えた女性に発症することが多いとか。

自分でも不思議とパニックにはならなかった。

「ええ! なんで私が、がんになるの!?」というよりも、「ああ、やっぱり私の番が来たか」。そんな感じだ。なぜか。そういう性格だからとしか言いようがない。おかげで幼いころから、人生の重大局面では、けっこう冷静でいられた。

※本稿は、『フルコース がんと私と家族の日々』(文藝春秋)の一部を再編集したものです。

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フルコース がんと私と家族の日々』(著:梅宮アンナ/文藝春秋)

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