コロナ禍の墓参り(2020年/写真提供:末井さん)

命日に、みんなで墓参りをするように

2001年7月5日の朝、田山さんのお母さんから電話がありました。「幸憲が昨日亡くなりました」と、しっかりした声が聞こえて来ました。あまりにもしっかりした声だったので、そんなに驚かなかったのですが、電話が切れた後、急に涙がポロポロ溢れて来ました。田山さんは容態が悪くなり、東大病院に入院したのですが、7月4日の17時3分に亡くなったそうです。54歳でした。

田山さんが亡くなった次の年から、田山さんの命日に、みんなで墓参りをするようになりました。田山さんのパチンコ仲間やライターや編集者やファンの人たちが墓の前に集まり、田山さんを偲んでいます。それがもう18年続いていて、年々墓参りの人が増えているのです。昨年はコロナ禍でみんなで行くことはしなかったのですが、一昨年は30人近く集まりました。

墓の掃除をしてビールや日本酒を供えそれぞれがお参りしたら、みんなビールを飲み始め、しばらくして居酒屋へ移動するのですが、いつも田山さんが一緒にいるような感覚になるのです。みんな年は取ったけど、昔と何も変わってないからかもしれません。

ぼくは田山さんより2歳若かったのですが、今年で田山さんより19歳年上になります。

田山さんが書いた「いつ死ぬか」と言う言葉が、どういう意味だったのか時々考えるのですが、「いつ死ぬかわからないところまで来ている」ということだったのかもしれません。あと10年もすれば、ぼくも「いつ死ぬかわからない」状態になるかもしれませんが、田山さんの死を追体験したことで、少しだけ死ぬことが恐くなくなったように思います。

※次回配信は3月11日(木)の予定です

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