109歳まで頑張らなくては
聖火ランナーは、町の職員さんから「応募してみませんか」とお話をいただいたのがきっかけでした。最初は、とんでもない、私には無理とお断りしたんですよ。そうしたら次は、町長さんがお見えになって(笑)。「箱石さんはこの町の誉れだ」なんておっしゃったものだから、後に引けなくなったというのが本当のところです。
最初の1年、延期後の1年は、とにかく病気をしないように、転んで怪我をしたりしないように気をつけて過ごしました。
聖火リレー当日、ゴールで出迎えてくれた人の中に、姪の姿もありました。近所に暮らし、とても仲が良く、美味しい物を作ると持って行ったりして、毎日のように互いの家を行き来していました。農家ですから足腰も丈夫で、87歳になっても元気でしたし、走り終えた私を「おばちゃん、おめでとう」と笑顔で迎えてくれたんです。それがその日の夜に帰宅して家のこたつで寝入ったまま起きてこず、ドクターヘリで病院に運ばれましたが、脳内出血ということでそのまま亡くなってしまったの。
子どもみたいに思っていた姪でしたし、それはもうショックでね。これまでつらいことがあっても涙をこらえてきましたが、初めて私、人の前で声を上げて泣きました。2年間毎日気を張って練習してきた疲れと、当日の緊張と、それから解放されたこと。それに続いてお通夜と葬儀でしょう。いろんなことが重なって、もう何だかしょんぼりしてしまって。食べられないし、夜も眠れないし。息子たちも心配するくらい、様子がおかしかったようです。
でも病院で検査をしてもらっても、体に問題はなし。初めて脳の検査もしてもらいましたが、この年齢なら多少は縮んでいるはずの脳にも異常は見当たらなかったそうです。とはいえ息子夫婦が心配をして、「食べたくなくても食べないと」とすすめてくれるので、少しずつ食事も口にできるようになりました。それから2ヵ月と少し。最近ようやく、前のように元気になってきたと思います。こうして皆さんに、自己流の健康法のお話などして「参考になります」と言ってもらえると、嬉しくなりますね。
お聞きしたところでは、108歳まで仕事をしたアメリカ人の男性が世界最高齢の理容師としてギネスブックに載っているそうですね。その方を超えるには、私も109歳まで頑張らなくては(笑)。これからも健康に気をつけ、お店に立ち続けていければ幸せです。