「起き上がること」「歩くこと」が最大の目標に
リハビリにやる気十分だった私だが、やはり頸髄硬膜外血腫というのは甘い相手ではなかった。
手の指先の感覚、足の感覚はしばらくなかった。足に力が入らない。動かすことはできるが歩くことができない。また、上半身を90度曲げることができないのも堪(こた)えた。
寝ている姿勢から起き上がることができない状態は1か月半程度は続いただろうか。
1年半ほど前には標高6961mのアコンカグアに挑戦した私だったが、そのときは「起き上がること」「歩くこと」が最大の目標となった。
コロナ禍もあり、家族に会えなかったり、病院から抜け出すことができなかったり、まあ状況はそれなりに厳しい時期であったかもしれない。
しかし、この先、自分で歩けるようになれば、いろいろとやりたいことがある。再び歩けるようになるという可能性を心から楽しみ、期待した。
そんな思いがリハビリを頑張る活力の源になった。「可能性」を楽しむことで、コロナの状況はあまり苦にはならなかった。