厚生労働省が公表した「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」によると、2023年の死亡数は157万6016人で、前年より6966人増加しました。いつかはおとずれる<死>について、年間200人もの死に立ち会ってきた精神科医・和田秀樹先生は「みんな死ぬのだから、必要以上にこわがったり、不安になることもない」と話します。そこで今回は、和田先生が「ひとりになってからどう生きるか」を指南した新刊『死ぬのはこわくない ―それまでひとりを楽しむ本』から、一部を抜粋してお届けします。
ひとりになると健康になる
これまでも「ひとりになりたい」と思ったことは何度もあったと思います。そういったときは、大概、息苦しい人間関係や状況から抜け出したいと感じていたときです。加えて、それを我慢しなくてはならなかったときです。人は我慢を強いられていると「ひとりになりたい」と思うものなのです。
我慢は強いストレスを生みます。強いストレスを受けると自律神経のバランスが崩れ、内臓機能を活性化させる副交感神経がうまく働かなくなってしまいます。すると、たちまち食欲不振や血行不良になり、免疫機能も低下してしまうのです。
また、ストレスがかかると、それに対抗するためにコルチゾンといわれるステロイドホルモンが分泌されるのですが、これは他のすべてのホルモンの働きを阻害してしまいます。
さらにストレスはガンにも大きく関係してきます。ストレスを受けると体内にフリーラジカルといわれる活性酸素が多く生み出されてしまい、細胞の「ミスコピー」が増えます。これは、ガンの大元といわれています。
ストレスは細胞を傷つけ、炎症を起こし、肉体にも精神にも負担をかけます。その結果、老化現象を加速させたり、ガンなどの重大な病気に直結してしまうのです。