介護の誇りを実感する瞬間

日常の食事介助の中にも、小さな成功が積み重なる瞬間が数多くあります。

食欲が落ちていた方に「一緒に食べましょう」と声をかけ、ゆっくり一口ずつ進めていく。最初は渋っていた方が、少しずつ箸を動かし、最後には「今日は食べられた」と笑顔を見せてくださる。

(写真提供:Photo AC)

その小さな達成感は翌日への自信につながり、次第に「また頑張って食べてみよう」という意欲を生みます。その姿をそばで見守るとき、介護は「できないことを補う仕事」ではなく、「できることを引き出す仕事」なのだと強く実感します。

リハビリの場面も忘れられません。車椅子で生活していた方が、理学療法士の支援を受けながら毎日立ち上がる練習をしていました。

最初はほんの数秒立つのがやっとで、数歩進むことなど夢のように思われました。それでも諦めずに挑戦を続け、ある日ついに杖を持って数歩歩くことができました。その瞬間、ご本人の目から大粒の涙がこぼれ、「まだ自分は歩けるんだ」と声を震わせました。周囲にいた職員や利用者から自然と拍手が湧き起こり、その場は祝福の空気に包まれました。

ほんの数歩に過ぎないかもしれません。しかしその一歩は、その人にとって人生を再び前へと進める大きな一歩だったのです。その場に立ち会えたことは、私にとって介護の誇りを実感する瞬間でした。