松井 想像で救われる──。わかります。私も、小学生で転校を経験して周りに馴染めなかった時は、本や漫画に本当に助けてもらいました。ところで、せっかく今日お会いできたので、作家さんの日常をうかがいたいのですが。

柚月 その時によってさまざまですけど、一日の目標枚数は決めずに、もっと書けると思っても「書きすぎない」ように切り上げています。場所は、家が一番はかどりますね。猫2匹と一緒の部屋で。

松井 え、邪魔されません?

柚月 いえいえ、パソコン作業中はおとなしいですよ。煮詰まったときに手でふわっと触れられるものがあると、こちらも助かる。(笑)

松井 癒やしになるだけでなく、仕事のお手伝いもしてるんですね。

柚月 松井さんは、女優としてのお仕事があるから、執筆時間を確保するのが大変でしょう。

松井 スケジュール表を見て、「ここは書く日」って決めたり、移動の新幹線の中で集中して書いたり。

柚月 どういう時に書きたくなりますか?

松井 喫茶店にいて、周りの人や会話に興味を惹かれたときですね。聞き耳を立てて、こっそりメモしたりしています。

柚月 関心が自然に外へと向くのは、作家の素質がある方だからこそと思います。お忙しいとは思いますが、私のように《松井ワールド》を楽しみにしている人間のために、これからも創作を続けてください。