曲を聴き思い出した19歳の頃

ちゃんみなはラッパーでもあり、感情をストレートに表現した歌詞が特徴だ。歌に歌詞をはめ込むのではなく、言葉自体が音楽になっている感じ。
誹謗中傷されていた当時の葛藤を思わせるような表現や、当時投げかけられたであろう酷い言葉も歌詞に載せられている。

一発撮りならではの臨場感、迫真の表現も相まって、生々しい言葉から苦しみが伝わってくる。インタビューの中で、誹謗中傷した人に対して次のように語っている。

「〈でも死んでないじゃん〉って言うけど、〈死んだんだよ〉って言いたいです。私が君たちの言葉を見て、どう感じて、どういう生活を送ってきたのか彼らには見せていないから。もちろん分かってないと思いますけど、死んだような生活を送っていたのは確かなことなので」
(『FNMNL』【インタビュー】ちゃんみな『美人』「私は4年前に一度死んだ」より)

『美人』のジャケット 〈通常・配信〉
(提供:ワーナーミュージック・ジャパン)

 

私が思い出したのは、自分が19歳の時、格安シェアハウスの人間関係や劣悪な住環境のストレスでご飯が全く食べられなくなった時のことだ。あばら骨が浮き出ガリるほどにガリガリに痩せ、BMIも16を切った。
でも、周りからは「スタイルいいね」「モデルみたい」なんて言われたのだ。

当時私は太りたくて仕方がなかった。極端に痩せることがこんなに苦しいことだなんて思わなかった。おしりの肉がなくなったせいで椅子に座るだけでも痛いし、冬は服を何枚重ねたって寒くて仕方がない。
生理も止まって、こんなに苦しくて、異常なほど痩せこけているのに、「綺麗」?
皮肉にも、人生で一番容姿を褒められた時期だった。